カツオ釣り完全ガイド|初心者が黒潮の暴れん坊を仕留める方法
カツオという魚、釣ってみたいと思いながらもどこか「ベテランの領域」と感じていないだろうか。実際、船に乗ると周りはゴリゴリの常連ばかり。隣でキャスティングしているアングラーが次々とヒットさせる中、自分だけボウズというのは想像以上にキツい。だが、実はカツオ釣りは初心者でもコツさえ掴めば十分に戦える。昨年5月、初めて外房の片貝港から出た日のこと。乗船した仲間6人のうち3人が初めてだったが、全員が10本以上釣って帰った。この記事では、そんなカツオ釣り方の基本から実践テクニックまで、実釣経験を交えながら徹底的に紹介していく。
カツオ釣りのベストシーズンと狙える海域
5月の黒潮に乗ってやってくるカツオは、年間で最も脂が乗り、サイズも期待できる。特に静岡県の御前崎沖、千葉県の外房エリア、三重県の尾鷲沖は毎年安定した実績がある。この時期のカツオは水温18度から22度を好み、黒潮の本流に乗って北上するため群れが濃い。
実際に相模湾で5月中旬に出船した際、船長が水温計をチェックしながら「ここだ」と止めたポイントは水温20.5度。その日は朝マズメの6時から8時の2時間で船中120本という爆釣だった。一方で、同じ海域でも水温が17度台になると途端に反応が薄くなる。カツオは回遊魚の中でも特に水温に敏感で、わずか1度の違いが釣果を左右する。
狙える時間帯は圧倒的に朝マズメ。日の出前後の1時間が最も活性が高い。ただし、潮の流れが効いている日中でもチャンスはある。昨年6月、伊豆諸島の神津島沖で正午過ぎに突然ナブラが湧き、30分で15本取れたことがあった。潮回りで言えば大潮から中潮の潮が動く日が理想的。小潮でも朝の短時間に集中すれば釣れないことはないが、やはり潮の効きが弱いと渋い。
初心者が最初に狙うなら、5月から6月の外房エリアが間違いない。船宿多く、レンタルタックルも充実している。カツオ 時期としてはこの2ヶ月が最盛期で、初めてでも数釣りが期待できる黄金期間だ。
カツオ釣りに必要なタックルと仕掛け
カツオ ルアーで狙う場合と餌釣りでは装備が大きく異なる。ここでは両方のパターンを解説する。まずルアーから。
ルアータックルの選び方
カツオ ジギングで使うロッドは、6フィート前後のジギング専用竿が扱いやすい。硬さはミディアムからミディアムヘビーで、ジグウエイトは80gから150gに対応できるものを選ぶ。実際に使っているのはシマノのグラップラーBB S60-3で、長さ1.83m、適合ジグ100gまで。これで2kgクラスのカツオでも十分にやり取りできる。
リールはスピニングならシマノ4000番、ダイワなら3500番が基本。ギア比はハイギアが有利で、巻き取りスピードが速いほうがカツオの引きに対応しやすい。ラインはPE2号を200m巻いておけば安心。リーダーはフロロカーボン30ポンド(約7号)を1.5mから2m取る。カツオの歯は鋭くないが、高速で泳ぐため摩擦熱でラインが切れることがある。リーダーを太めにしておくのは保険だ。
ジグは80gから120gのセンターバランスかリアバランス。カラーはピンク、ブルー、グリーンが定番で、日によって当たりカラーが変わる。初心者は各色2個ずつ用意しておくと安心だ。実際に外房で5月に釣った日は、朝はピンクに反応があったが9時を過ぎるとブルー系にしか反応しなくなった。群れが見えている状況でも、カラーローテーションを怠ると釣果に差が出る。
餌釣りの仕掛けとカツオ 仕掛けのポイント
餌釣りでは、コマセカゴを使ったビシ釣りが主流。竿は8フィートから9フィートのライトゲームロッドで十分。リールはスピニング4000番、PE3号を200m。仕掛けは船宿で販売している既製品でも問題ないが、自作するなら幹糸フロロ8号、ハリスフロロ6号を1mから1.5m、針はカツオバリ12号から14号を使う。
コマセはアミエビとオキアミを混ぜたものが一般的。船宿で用意してくれる場合も多い。付け餌はオキアミのLサイズを尾から針に刺し、頭を残す形で付ける。この付け方だと、カツオがバイトした時に針掛かりしやすい。
初めてカツオ 釣りに挑戦する場合、餌釣りのほうがルアーより釣りやすいと感じる人もいる。コマセで寄せるため群れが止まりやすく、初心者でもチャンスが多い。ただし、ルアーのようなスピード感はない。どちらを選ぶかは好みだが、まずは釣ることを優先するなら餌釣りから入るのも手だ。
カツオ 釣り方の基本テクニックと実践アドバイス
カツオは見えている魚を釣る楽しさがある。ナブラが立つと水面が白く泡立ち、鳥が群がる。この光景を見たら迷わずキャストだ。
ジギングでのカツオ 釣り方
ジグを投げ込んだら、まず着底を待たずカウント10でリトリーブ開始。カツオは表層から中層を回遊しているため、底まで落とす必要はない。リトリーブはワンピッチジャークが基本で、ロッドを45度ほどシャクり上げながらリールを1回転巻く。この動作を繰り返すとジグが跳ねるように泳ぎ、カツオの視覚に訴える。
バイトは明確だ。ゴンという衝撃の後、一気にラインが出る。ここで焦ってロッドを立てるとバレやすい。最初の突っ込みはリールのドラグで対応し、走りが止まったタイミングでゆっくり巻き上げる。カツオは引きが強いが持久力はない。最初の2回の走りをいなせば、あとは比較的楽に寄せられる。
実際に初めてカツオを掛けた時、焦って強引に巻いたらあっさりバラした。次のヒットで意識的にドラグを緩め、走らせてから巻いたらスムーズに取り込めた。この経験から学んだのは、カツオは「止める」より「いなす」釣りだということ。
餌釣りでのコツ
餌釣りではコマセワークが釣果を分ける。ビシカゴを海に投入したら、船長の指示ダナまで落とす。指示が「タナ15m」なら、15mでビシを2回から3回振ってコマセを出す。その後、仕掛けを1mほど上下させて誘いを入れる。カツオがコマセに寄ってくると、竿先にコツコツという前アタリが出ることがある。ここで焦らず、ガツンと本アタリが来るまで待つ。
本アタリが来たら即アワセ。餌釣りでもカツオの引きは強烈で、最初の走りで30mほど持っていかれることもある。ドラグを適切に設定しておかないと、ラインブレイクするリスクがある。事前に2kgから3kgの負荷でドラグが出るよう調整しておこう。
御前崎沖で餌釣りをした際、隣の釣り人がドラグを締めすぎて3回連続でラインブレイク。もったいない話だが、初心者にはよくあるミスだ。ドラグ設定は出船前に必ずチェックする習慣をつけたい。
ナブラ撃ちのコツ
ナブラが見えたら、船が近づく前に遠投する。カツオは船の音に敏感で、エンジン音が近づくと沈んでしまう。理想は船から30m以上離れた位置にキャストすること。ジグが着水したら即リトリーブ。ナブラの中にジグを通すイメージで、速めのリトリーブを意識する。
ナブラが消えても諦めない。一度沈んだ群れは数分後に再び浮く可能性がある。その間、中層をジグで探り続けると、突然ヒットすることもある。昨年、房総沖でナブラが消えた後も諦めずに15mラインをジグで探っていたら、連続3本ヒットした。周りが諦めて移動した後だったので、独占状態で釣れた。
釣ったカツオの締め方と持ち帰り方
カツオは鮮度が命。釣ったらすぐに締めて血抜きをする。締め方は脳天をナイフで突き、そのままエラの付け根を切る。水を張ったバケツに入れて血を抜き、氷を入れたクーラーボックスに収める。この作業を怠ると、身が生臭くなり、せっかくの美味しさが台無しになる。
クーラーボックスは最低でも40リットル、できれば60リットルあると安心。カツオは2kgから3kgクラスが多く、10本釣れば20kg超になる。氷もたっぷり用意しておこう。保冷力が高いクーラーなら、帰宅後も鮮度が保たれる。
初めての釣行で失敗したのがこの部分。クーラーが小さく、氷も不足していたため、帰宅時には魚が生温かくなっていた。刺身にしたが、やや生臭さが残り、家族からの評判も今ひとつ。それ以降、クーラーと氷には妥協しないと決めた。
持ち帰ったカツオは、当日中に捌くのがベスト。刺身はもちろん、タタキ、カツオ節風の炙りなど、食べ方は豊富。特に釣りたてのカツオを塩タタキにすると、市販品とは別次元の旨さ。ニンニクと生姜を効かせれば、家族も驚く一品になる。
初心者が陥りやすい失敗と対策
カツオ釣りで初心者がやりがちなミスをいくつか挙げておく。これを知っているだけで果は確実に上がる。
ドラグ設定のミス
前述した通り、ドラグを締めすぎるとラインブレイク、緩すぎるとフッキングしない。出船前に、リールを地面に置いて竿を引っ張り、スムーズにラインが出るか確認しよう。目安は竿が曲がり始めるくらいの強さでラインが出ること。
アワセが強すぎる
カツオがヒットすると嬉しくなって思い切りアワセを入れる人がいるが、これは逆効果
カツオは向こうアワセで十分フッキングする。むしろ強く合わせると口切れやバラシの原因になる。竿先にドンと重みを感じたら、そのままリールを巻き始めればいい。焦らず、カツオの引きに任せて竿をしならせる感覚を大切にしよう。
巻き上げのスピードが遅い
カツオは引きが強いからといって、ゆっくり巻いていると逆にバレやすくなる。カツオは瞬発力の魚で、テンションが緩むと一気に針外しをする。ヒット直後はカツオの突っ込みに耐えつつ、走りが止まったらすぐに高速巻き。竿を立てて、リールのハンドルを素早く回転させ続けることが重要だ。
群れの動きを追えていない
ナブラが出た瞬間、焦って適当にキャストする人が多い。もナブラは移動する。まず群れの進行方向を見極め、少し先にルアーを投げるのが正解。船長の指示をよく聞き、潮の流れる方向も意識しながら投げる位置を決めよう。焦りは禁物。冷静に状況を読む余裕が釣果に直結する。
周囲への配慮不足
乗合船では、隣の人とのオマツリ(糸の絡まり)が頻発する。特にカツオが走り回ると、ラインが他人の仕掛けに絡むことも。ヒットしたら「掛かりました!」と声を出し、周囲に知らせる。これだけでトラブルは激減する。自分だけ釣れればいいという態度は、乗合船では嫌われる。協調性を持って釣りを楽しもう。
釣ったカツオを最高に美味しく食べる方法
カツオ釣りの最大の楽しみは、なんといっても釣りたての魚を味わうこと。スーパーのカツオとは鮮度も脂の乗りも別格で、一度食べたら病みつきになる。ここでは、釣ったカツオを最高に美味しく食べるための下処理と調理法を紹介する。
船上での血抜きと締め方
カツオは回遊魚で血が多い。そのため、釣り上げた直後の処理が味を大きく左右する。船上即座にエラの付け根にナイフを入れ、血抜きをするのが基本。血が抜けたら、氷水に浸けて一気に冷やす。この作業を怠ると生臭さが残り、せっかくの釣果が台無しになる。
過去に血抜きをサボったことがあるが、帰宅後に捌いた際、身が赤黒く、血合いも広範囲に広がっていた。刺身にしても生臭く、タタキにしても風味が落ちる。それ以来、どんなに忙しくても血抜きだけは徹底している。手間を惜しむと、後で必ず後悔する。
刺身で食べるなら
釣りたてのカツオは、刺身が一番うまい。捌く際は、三枚におろして血合いを丁寧に取り除く。皮は引かず、軽く炙って皮目を香ばしくするのもあり。薄めに切って、ニンニクスライスと生姜、ネギをたっぷり乗せ、ポン酢で食べると絶品。市販のカツオでは味わえない、もっちりとした食感と甘みが楽しめる。
タタキの作り方
カツオといえばタタキ。釣ったカツオで作るタタキは、スーパーのものとは次元が違う。三枚におろしたカツオの皮目を、ガスバーナーや炭火で軽く炙る。表面が焦げるくらいまで炙ったら、すに氷水に浸けて冷やす。こうすることで、外は香ばしく、中はレアな状態に仕上がる。
切り分けたら、塩を軽く振って10分ほど置く。これが塩タタキ。ニンニクスライスと生姜、ネギを乗せて食べると、カツオの脂と塩が絡み合い、酒が止まらなくなる。ポン酢で食べるのもいいが、塩タタキの方が素材の味がダイレクトに感じられる。
漬け丼もおすすめ
刺身用に切ったカツオを、醤油・みりん・酒を混ぜたタレに30分ほど漬け込む。これをご飯に乗せれば、簡単に漬け丼の完成。タレにニンニクと生姜を加えると、さらに風味が増す。朝釣ったカツオを昼に漬け丼にして食べる贅沢は、釣り人ならではの特権だ。
余ったら竜田揚げに
刺身やタタキで食べきれなかった分は、竜田揚げにするといい。カツオを一口大に切り、醤油・酒・生姜で下味をつけて30分置く。片栗粉をまぶして揚げれば、外はカリッ、中はジューシーな竜田揚げになる。子供にも人気で、弁当のおかずにも最適。釣ったカツオを余すことなく楽しめる。
5月のカツオ釣りで知っておきたい豆識
カツオ釣りをさらに楽しむための豆知識をいくつか紹介する。知っているだけで釣果が変わる情報もあるので、頭の片隅に入れておこう。
初ガツオと戻りガツオの違い
カツオには春の「初ガツオ」と秋の「戻りガツオ」がある。5月に釣れるのは初ガツオで、脂は少なめだが身がしまっていて、さっぱりとした味わい。対して秋の戻りガツオは、北上して戻ってくる際にたっぷり餌を食べているため、脂が乗っている。どちらが美味しいかは好み次第だが、刺身なら初ガツオ、タタキなら戻りガツオという意見も多い。
カツオの群れを見つける目印
カツオの群れは、海鳥の動きで見つけられる。特にカツオドリやミズナギドリが低空を旋回していたら、その下にカツオがいる可能性が高い。カツオが小魚を追い込むと、海面に逃げ場を失った小魚が跳ねる。それを海鳥が狙うという構図だ。船長も鳥の動きを頼りに船を走らせることが多い。
潮目の重要性
カツオは潮目に集まりやすい。潮目とは、異なる潮がぶつかる境界線のこと。海面を見ると、色変わっていたり、ゴミが浮いていたりする場所がある。そこが潮目だ。カツオはこの潮目に沿って回遊し、餌を捕食する。船長が潮目に船を寄せたら、そこが狙い目。集中してキャストしよう。
カツオのサイズと引きの関係
カツオは2kgから3kgが平均サイズだが、時折5kg超の大型も混じる。大型は引きが強烈で、初心者には制御が難しい。ただ、小型でも引きは強いので、油断は禁物。サイズに関わらず、ドラグ設定と巻き上げのスピードを意識して対応しよう。
船酔い対策も忘れずに
カツオ釣りは沖合に出るため、波が高い日もある。船酔いしやすい人は、事前に酔い止め薬を飲んでおこう。出船の30分前に服用するのがベスト。また、船上では遠くの水平線を見る、空腹を避ける、こまめに水分を取るなどの対策も有効。船酔いで釣りどころではなくなると、せっかくの釣行が台無しになる。
次の釣行に向けて準備を整えよう
カツオ釣りは、タックル選びから釣り方、そして食べ方まで、すべてが楽しめる釣り。初心者でも、基本を押さえれば十分に釣果を上られる。ドラグ設定、ルアーの選択、ナブラへのアプローチ、そして巻き上げのスピード。これらを意識するだけで、釣れる確率はグッと上がる。
最初は船長の指示を素直に聞き、周囲の釣り人の動きを観察しよう。わからないことがあれば、遠慮せずに質問する。乗合船の釣り人は、初心者にも親切に教えてくれることが多い。そして何より、失敗を恐れずにキャストを繰り返すこと。カツオ釣りは、数を打てば必ず結果がついてくる。
5月の黒潮は、カツオを連れて日本列島に接近する。今年こそ、あの暴れん坊を仕留めてみないか。タックルを揃え、予約を入れ、週末の海へ繰り出そう。初めての一本が竿を曲げた瞬間、あなたもカツオ釣りの虜になる。
